主要ポイント
- 投機筋(Non-Commercial)のポジションは、2025年5月から6月にかけて減少傾向にあり、6月23日には130.9Kに低下。
- 2024年8月から9月にかけてはネットロングポジションが急増し、3.5年ぶりの高水準に達した。
- 最近の減少は、円に対する強気見方が弱まっている可能性を示唆。
背景
シカゴ通貨先物市場(CME)の日本円(JPY)に関する投機筋のポジションは、市場のセンチメントを反映する重要な指標です。2024年8月にはネットショートが最大だったが、9月にはネットロングに転じ、2025年5月にピークを迎えました。その後、6月に入ってから減少傾向が見られます。
最近の動向
6月23日時点のデータでは、ネットロングポジションが130.9Kで、前週の144.6Kから減少しました。これは、投機筋が円の買いポジションを減らし、弱気な見方にシフトしている可能性を示唆します。投機筋のロングポジションの高水準がUSD/JPYの上昇(円安)に寄与したと指摘されています。
市場への影響
投機筋のポジション変化は、円の価格に影響を与える可能性があります。ロングポジションの減少は、円の弱含みを引き起こす要因となるかもしれません。
投機筋のポジションとは
投機筋(Non-Commercial)は、主にヘッジファンドや投機家で、市場のセンチメントを反映する重要な指標です。
CFTC(商品先物取引委員会)のCommitments of Traders(COT)レポートは、毎週火曜日のポジションを基に、ネットロング(買い越し)やネットショート(売り越し)のデータを公開します。
このデータは、市場参加者がその通貨に対して強気か弱気かを示すため、トレーダーや投資家にとって重要な参考情報となります。
ポジションの歴史的推移
2024年8月~9月の急激な変化
- 2024年8月初め、投機筋のポジションは過去20年以上で最大のネットショートポジション(約180,000枚)を記録しました。これは、円が弱気相場にあったことを示唆します。
- しかし、9月には状況が一変し、ネットロングポジションが約45,000枚に達し、3.5年ぶりの高水準となりました。この急激な変化は、円が安全資産として再評価された可能性を示しています。
2025年5月~6月のピークと減少
2025年5月16日、ネットロングポジションは172.3Kに達し、ピークを迎えました。その後、以下のようないくつかの週で減少が見られました:
5月23日:167.3K
5月30日:164.0K
6月6日:151.1K
6月13日:144.6K
6月23日:130.9K
この減少傾向は、投機筋が円に対する強気見方を修正し始めたことを示唆しています。
表:最近6週間のネットロングポジションの推移
リリース日 |
ネットロングポジション (K) |
2025-05-16 |
172.3 |
2025-05-23 |
167.3 |
2025-05-30 |
164.0 |
2025-06-06 |
151.1 |
2025-06-13 |
144.6 |
2025-06-23 |
130.9 |
結論
シカゴ通貨先物市場における日本円の投機筋(Non-Commercial)のポジションは、2024年8月から2025年6月までの間に以下のような推移を示しました:
- 2024年8月:ネットショートポジションが過去20年以上で最大。
- 2024年9月:ネットロングポジションが3.5年ぶりの高水準に達する。
- 2025年5月:ネットロングポジションがピークに達し、172.3Kに上昇。
- 2025年6月:ネットロングポジションが減少し、6月23日には130.9Kに低下。
この推移は、投機筋の円に対する見方が強気から弱気にシフトしつつあることを示唆しています。特に、6月以降の減少は、市場参加者が円の価値に対する楽観的な見方を修正し始めている可能性があります。
主要引用文献
